絵本を体感  チャチャ ウー

「きょうはマラカスの日 クネクネさんのいちにち」(樋勝朋巳/作・絵
 福音館書店)。

クネクネさんとパーマさんとフワフワさん。
クネクネさんのはいているのは、タイツ?ももひき?
何ともいえないとぼけた味の、でもリズムが頭についてはなれない絵本なのだ。

マラカスをこんなに一生懸命やってるなんて。
お立ち台まであるなんて。

チャッ ウー チャチャ ウー チャッ!

最後にマラカス持ってえびぞりしたり。
(ももくろ ゼェ〜ット!って感じの動き)

最初読んだ時から、この可笑しさにまいってしまった私。
インド雑貨のお店で小さなマラカスまで買ってしまい、これは読み聞かせして子どもたちにも「チャッ ウー チャチャ ウー」をしてもらいたくてたまらなくなった。
そして、まず夏休みの図書室開放で読んで反応見たあとで、1年生に読んで最後に チャッ ウー をやってもらった。
カンカンカンカンカンカンカン!と足も動かして。

その時はそれなりに楽しくやれていい時間が過ごせたのだが、私のなかで大きくブームだったものだから、そういう絵本はかえって反応を期待してしまうから客観視出来なくて困るなあなんて思っていた。
私が一番楽しがっても、子どもたちが入るスキがないわけで。

で、1か月ほどたったある日。
休み時間に、3年のEくんが私に、ふと思い出したように話しかけてきた。

「なあなあ、先生。ぼくの妹な、ずーっと(夏休み)車のなかでチャッ ウー チャチャ ウー って、言ってて、すっごいうるさかってん。」
「え、あのカンカンカン…の?」
「丸いの、ほら。」
「マラカスやろ?」
「うん、あれ持つ真似して、手あげてやっててん。」
「え〜、車のなかで?」

それは、あのえびぞりのポーズではないかいな!
Hちゃん、心のなかに残ってたんやなあ。
あの時はさほどでもないようだったけどなあ。

多分家族で夏休みのレジャーでもされてたのだろう。その車のなかで、突然あの「きょうはマラカスの日」を思い出し、再現していたHちゃんを思うと、とてもうれしかった。

そして、心にしみいってそれがまた出て行くのって、すごく不思議な道のりだな、と思った。

こんな風に、お兄ちゃんが言ってくれたことで知ることが出来て、本当によかった。

自分ばかりが楽しくてもだめだけど、自分がまず面白いと思わないと伝わらないし。
なんともシュールで、でも音楽を感じたこの絵本の世界が、共有出来てしあわせだった。