読んでから観た場合

この夏、映画「怒り」が毎日のように宣伝され、書店には本が並べられ…。 そうか、「悪人」の吉田修一かとやっと結びつき、本を読みました。そして、先日映画も観てきました。とにかく豪華キャストで、原作のイメージと結びつかなかった宮崎あおいが「お父ち…

8月に読む

昨年買っていながら読めていなかったのを、1年遅れでようやく手に取った。 角野栄子の「トンネルの森 1945」(角川書店)。私や、私とかかわる子どもたちにとって親しい存在である「リンゴちゃん」の作者だ。もちろん世の中的には、「魔女の宅急便」の…

今年も行ってきた

今年の夏は、いつにもまして暑い。 昼間に出歩いていると、くらくらしてくる。でも、やっぱりこの時期はここに行かなくては。 恒例「古本まつり」に出かけてきました。もう今年で29回目なんだそうです。私は学生の時に、この古本市でバイトしたことがある…

大人になってわかったグリーン・ノウ

L・M・ボストンのグリーン・ノウ物語は、子どもの頃には既に出版されていた。 イギリスのファンタジーが好きだった私にとっては、評論社の趣たっぷりなすてきな挿絵の、この物語は読んでみたい作品だった。 中学に入ってから読み始めてみたのだが、私には最…

冬のさなかに

自転車族の私は、風が直撃! つらい季節です。 でも、これが冬なんだものね。 これを通り過ぎないと、春はこない。 当たり前のつらさを受け取らないといけないか…年とともにこんな風に思う自分がいます。冬に咲く花が好きです。 小さなつぼみに、がんばれと…

おめでとうさん

昨年は、秋から年末にかけて怒涛のように過ぎていった。 年を取るにつれて、こののしかかかるような仕事の重なりを乗り切るのがつらくなる。 12月上旬にようやくひと段落ついたが、それまでの忙しさからくる虚脱感から抜け出すのに時間がかかり、気がつけば…

秋のそら

空がすきっとしてきた。 9月の、空だ。こんな季節になると、東君平さんの詩を思い出す。 あきのそら あきのそらは くもひとつなくすみわたっています。それは 風が すすきのほうきで きれいに はくからです オレンジジュースで煮たチキンが、給食に出た日の…

夏休みの読書③

今年も行ってきました。夏の恒例、古本市。 今回は児童書を寄贈していただけることになり、その選書も兼ねていたので少々仕事モードになり純粋に楽しむまでにはならなかった。 でもこんなものを見て、懐かしさとともに「これが、古本市なんやなあ」となごむ…

夏休みの読書②

昨日のニュースで、ヒロシマ・ナガサキの原爆の日を知らない若い人が多いと言っていた。何パーセントかははっきり覚えていないが、答えられる人は半分にも満たなかった。昨日は日曜日ということもあり、例年よりナガサキの原爆の報道をよく見たように思った…

夏休みの読書

夏休みは、目的のない読書を楽しむ期間にしているのだけど、ただこの時期は戦争の児童文学を手に取るようにしている。 特に今年は、積極的に読みたい。 そんな気持ちになっている。私の好きな竹崎有斐の「にげだした兵隊 原一平の戦争」(岩崎書店) 。 題名…

つぶやき

「まれ」を見ていて。 元パティシエの祖母がまれに言う。 みんなから、おいしいと言われなくてもいい。 自分がおいしいと思う味を見つけなさい。どんなパティシエになるか、いつか決めなければいけない時がくる。みんなに認められることを気にして、唯一無二…

家族のいろんなかたち

読む前は、なんの秘密の一週間なのかと全然別の想像をしていた。 こういう一週間だったのか、と一気に読んでふうっとため息が出た。これは、満足の吐息だ。 島へのバカンスで、いろいろと思い描いていたものとは全く違うことに遭遇してしまったサミュエルだ…

テレビを見ていて

テレビで、岡山県立図書館が放映されていた。 タレントたちが「すごい!」「図書館に行きたくなる」と連呼していた。書庫は前に見学した国立国会図書館(関西)のようになっていた。この本が読みたいというとカウンターで検索してくれ、書庫のものは機械操作…

古きよき本 いまもよき本

図書室にあるポプラ社文庫をこのところ読んでいる。 最近、昭和の本にさかのぼってばかりいる私。図書館でも、閉架のものを出してもらってばかりだ。「のっぽビルのでぶくん」(大石 真)より「へんな一日」タケシが、朝教室に入っていこうとしてふと廊下の…

5月のある日 図書室で

今週の子どもたちとのおしゃべり。初めて本を借り始めた1年生。その行為がうれしくてたまらない反面、借りたい本をめぐっての小競り合いが勃発する。1冊の本をめぐってじゃんけんした男の子たちの事情を聞く。じゃんけんに負けて泣いている子は、「僕が先に…

今の時代につなぐ

あれから「家なき子」マイブームが訪れ、図書館で借りた国土社のをアマゾンで購入する際に、ひろりんさんが読み親しんだというポプラ社版も手に入れた。 そして、どちらも面白く読んだ。 ポプラ社版の方が分厚く、出版も古い。訳も懐かしいような文体で、よ…

なつかしいレミ

はじまりは、学校で子どもがこの本がないかと聞いてきたことからだった。 ああ、懐かしいなと思い、でもこんな本を今の子がよく知ってるなと驚いた。 聞いてみると、どうやらお母さんのすすめだったらしいのだが。でもその本「家なき子」は図書室になく、自…

年があけて

結婚以来、もう20数年お正月は帰省していたので、いつも私は招かれる側だった。おせちを作って持って帰ったり、京都から珍しい食べ物を買って帰ったりすることはあっても、やはり準備する側ではなかった。それが、昨年の6月に義父が亡くなり義母がこちらに来…

年末の会話

年末、母と話をしていて。「お母さん、私、小さい時から本好きやった?」 「そら、好きやったなあ。」 「4人のなかでも、一番?」(私、4人姉妹です) 「お姉ちゃんが小学校入って、家で教科書読んでるやろ。あんた、横でちょこんと座ってじっと聞いてるんや…

掛け値なく愛するということ

公立の学校って等しく子どもたちが来るところなので、いろんな家庭環境や経済状態の子がいる。 その当たり前の事実にはっとする時が、学校司書だって多々ある。 その子の具体的な事情を知らなくても、垣間見せる会話や表情や反応に厳しい現実を見て、学校に…

絵でこころをあらわす

はや、3カ月近く立ってしまった。 ほんとに今年ったら、もう。あれから、京都国立近代美術館へ、ホイッスラー展も見に行ったのよ。 私の見たかった白のシンフォニーは展示されていなくて、ホイッスラー画集を見てやっと出会えた。白の壁に立つ、白いドレスの…

読んでおわりじゃない本

「夏が逝く」もっともっと続きがあったのに、ほんとに夏はとうに逝ってしまい、秋が来てしまった。後戻りは、またおいおいすることにして次に進むことにしよう。夏の終わりに朽木祥の「風の靴」を読み、ヨットのことは何も知らないけれど本当に面白く読んだ…

夏が逝く①

昨年のいまを読み返したら、自主研修に行けばよかったとつぶやいていた。 そんなのもあってか、今年は家の事情で遠出出来ない分、近場で行けるものには積極的に足を運ぶ夏になった。 もちろん、恒例のお楽しみも。 毎年行く古本市。 今年は前日の雨のせいか…

お盆ナウ

6月に義父が亡くなり、義母を呼び寄せ新しい生活が始まった我が家は、毎日があっという間に過ぎいつのまにか初盆を迎えた。なので、今年の夏はホントにお盆らしいお盆を過ごしている。 そして、この年になって初めて知ったことが多い。精霊馬というのだそう…

ウインナー

帰ろうと職員室を出たら、昇降口でY君と出会う。「ウィンナーがな。」 「うん、うん。(ウィンナーがどうしたん)」 「賞味期限が7月15日でな。」 「うん。」 「これがな、14日やったやろ。」Y君は、手提げかばんから紹介用紙を取り出して、指差した。 今週…

夢のはなし

「図書の時間をおわります。」 あいさつのあと、大あくびしていた女の子がいた。「Hちゃん、ねむたいの?」 「きのう、めっちゃへんな夢見てん(見たの)。」 「こわい夢?」 「へんな夢。」 「そうなん。」 「ミラクルアイスめっちゃようけ(たくさん)のっ…

自分だったら

久しぶりに読んだ「シルベスターとまほうの小石」(W・スタイグ)。お相手は3年生。 ロバのシルベスターは、赤い小石を拾う。 その時、小石をひづめにはさみながら、何気なく「雨が降らないかなあ」と思ったシルベスター。すると、突然どっと降ってきた雨。 …

もう6月が終わるなんて

何ヶ月かごとにブログを再開しながら、また途切れ…1年間ずっとそうだった。 昨年引越しがあり、この1年松本の両親が自活出来ないような状況になりいろいろと方法をみんなで考えてきた。 そして春に、ついに義母を京都に呼び寄せ、元気になるのを待って義父も…

つながれ 光の輪よ 

人がつき動かされて、行動する時ってなんなんだろう。 誰かに言われてするもんではない。自分で、強く思う時。 俊のおばあさんがまだ若いお母さんだった頃、ある夜野原に一人で立っている須藤さんを見かける。 寒い寒い冬の日。「このひとは、ほんまにひとり…

いい仕事してるなあ

「昔々、あるところに、たいへん凶暴なお姫さまがおりました…」。 すぐプッツンするので「ラ・プッツン・エル」と呼ばれ、恐れた城の者たちは彼女を塔に閉じ込めてしまう。ラプンツェルをなぞらえて引きこもりの女の子にするところが、もうこの物語のイメー…