風邪をひいて もうけもん

日が過ぎるのが、早すぎる。
この一年近くずっと風邪もひかず頑張ってたのに、ついにひいてしまい1週間ほど苦しんだ。
読み聞かせするのも、声が出にくくしんどい。

おのずと士気も下がる。

すると、子どもたちがなんだかすごくおしゃべりに感じるんだなあ。
いっぱいしゃべりかけてくるように感じ、面白く思った。

それは、私をねぎらってくれるとか、そういうんじゃないのだ。

こちらが受け身になってるので、すき間があるのだろうか。

図書委員の男の子が、「今日ぼく、ついてないみたい」と言う。
「なんで?」と聞くと、ブックトラックの本を書架に戻してきたら、面出しをしていた「ミッケ」に、戻そうとしていた本の端が当たり、「ミッケ」が落ちてきて鼻に当たったんだって。
「いやあ、それはついてなかったな。」と、思わず共感する。

そんなことから、水木しげるの妖怪ばなしに話題が飛んだりして、何気ない会話をずっとしていた。
というか、何気ないことを話してくれるH君に、ずっと耳を傾けていた。

また、本棚をじっと見てたら、4年の女の子がずっとついてきて「何してんの?」
「6年生の最後の図書の時間が今度あるから、どんなの紹介しようかなって考えてるの。」と答えた。
女の子は「ふ〜ん。」と言いながら、私と並ぶ。
「Kちゃんは、どの本が好き?」と聞くと、書架を回って指さしてくれた。
後藤竜二の「1ねん1くみ」シリーズ、「ソクラテス」シリーズ、ああ、1番好きなのは「はれときどきぶた」シリーズって言ってたな。

元気な時も子どもたちと話をするのは好きだし、その時もなんやかやと話してくれると思っていたけど、こうして自分の動きがにぶい時に、子どもたちの能動的なことといったら、何なのだろう。

やはり、こちらがきびきび動き過ぎると、しゃべるきっかけをなくすのでは、とふと思ったのだ。
しかも、そんなに大した話でもないし…ってところだ。

でも、この大した話じゃないところが、実にその子らしい味を感じられるんだなあ。
よく「待ち」の姿勢というが、頭ではわかっていても空気のように存在するのは、なかなかのものなのだ。
やってると思ってても、出来てないのだとあらためて思った。

体はしんどいけど、この発見は、風邪ひいてもうけもんだったな。