どんな音がするのかな
図書ボランティアさんとお話をしていた時のこと。
「そうそう、うちの子が傘さした時、ポンポロロン…ってならへんわ、って。」
「あっ、やってましたか?」
私は、ぐんとうれしくなった!
前回の図書の時間に「おじさんのかさ」(さのようこ/作・絵)を読んで、1年生に言ったのだ。
「今度雨ふったらな、ポンポロロンっていうか、ピッチャンチャンっていうか、やってごらん。ほんで、先生にどうやったかおしえてな。」
子どもたちは「そんな音せえへんわ」「ポンポロ…とは鳴らへんわ」とか口ぐちに言っていたが…。
実際に、傘にあたる雨音を聞いてみたんだな。
絵本で聞いたことを、実際に生活で追体験してみる。
それで、絵本がまたぐんと近くなる。
それはとても大事なことと、私は思っているのだ。
本当は、子どもが自分で思い出したり気づいたりするのが、一番いい。
でも、きっかけってあると思うから、時々こうして仕掛けてみる。
種蒔きのつもりだから、気長に構えているのだ。
ボランティアさんは本の好きな人なので、「おじさんのかさ」を知っていた。
「あ、あんた、おじさんのかさ、読んでもらったんやろ、と言ったら、うんって言ってました。」
「そうなんです。音聞いてみ、と言うたんです。」
「靴の音は、こうかな…とやってましたよ。」
「へえ、やってたんだ。うれしいなあ!」
子どもの耳には、どう聞こえるのだろう。
さのさんの耳には、ポンポロロンやピッチャンチャン。
それが正解なはずは、もちろんない。
さのさんだって、そう思ってはいないだろう。
こんな音したよと、独自性のある擬音がいっぱい生まれないものか。
それは、耳をそばだてることからしか始まらないよね。
そうだ。子どもに言う前に、私は耳をすませてたのかな。
自分が傘さして、ゆっくり歩いてることってほんとにないなと、あたらめて気づいた。
チャり族は、いけないこととはわかっていても、雨の日はほぼ自転車にレインコート。そして傘さして過ごす。
雨音聞いてるゆとりはない。
これじゃあ、いかんなあ。
聞いてみないとな、と思う日に限って、晴れ。
今朝は、梅雨の期間にぽっかり訪れた晴天なのだった。
雨が降ったら、ぜひ。
でも、とてもうれしいエピソードだった。