子どもがえらんだこの本⑤  2011

5・6年生のまき。

5年生は3クラスを回しているので、子どもたちにすると3週間に1回図書の時間がくることになる。
この子たちが2年生の時に私はいまの学校に来たから、低学年から図書の時間に親しんできた子たちがやっと高学年になったことになる。
何が違うかというと、まず本の読み聞かせに対して構えや照れがない。
もちろん5年生だから、ストレートな反応はかえってこないことが多いが、「聞く」ことに素直になれるから既に垣根が取れている。
だから、それまでの高学年にくらべると段階的にオチのはっきりあるものや、絶対うけるものばかり持ってこなくてもよいのだ。
習慣というのは、大きいなあと思う。
知らず知らずのうちに育つものがあるのだろう。

(それは何もやってこなくても育つという意味ではなく、あれこれやってきても結果がすぐ出ないということなのだ。忘れた頃に、結果がくるというか…。)

1〜4年生とは違い心に残った読み聞かせの本も、感想にははっきりとした形では出てこない。
でも心根のようなものは伝わってくる。
ほっとした時間にはなっているようだ。
そして、自分の好きな本にも出会っているようだ。
新しい本との出会いを待っているところも感じられ、司書としては高学年の読み物を丁寧に紹介しなくてはと改めて思う。




「たこきちとおぼうさん」(工藤ノリコ/作・絵 PHP研究所)

★読んでくれた中で、一番おもしろかったのは、おぼうさんがたこのすみで書くと絵がでてくるのが、すごくおもしろかったです。

★図書室で読んでもらった本で、いちばんおもしろかった本は、題名はおぼえていないけど、おぼうさんがたこのすみで「え」をかいたら、本物みたいになる本です。いかとたこが戦ったり、船でわたるなどおもしろい本でした。ほんとうに、あんなすみがあったらいいのになぁと思いました。

★図書室でいろいろな本と出会いました。先生が読んでくれた本では、たこのすみで絵をかくと、それが少しの間本物になって大だこをやっつけるというお話です。




「クリスマスのちいさなおくりもの」(アリスン・アトリー/作 山内ふじ江/絵 福音館書店
 

★今日読んでもらったクリスマスの小さなおくりものの本は、私ももっていて読んだ事があるんですが、自分が読むと全然おもしろくなかったんですが、先生が読むとものすごくおもしろくて、上手で、やっぱり先生に読んでもらった方がおもしろいんだなとあらためて思いました。



(自分とは違う目線で知ってる本を読んでもらった時、なぜかその本が面白く思える。え?こんな本だったかな。…こんな経験は、大人でもあると思う。本の再発見というか、その感覚をうまくとらえた感想。)



フランチェスカ」(ステファニー・ブレイク/作・絵 教育画劇

★ブタ(フランチェスカ)が弟のせいで、かわいがられなくなって、ムカついて出ていき、ネコになったお話です。すごくかわいいお話で、フランチェスカのきもちは、スゴくわかります。



<自分で読んだ本のなかで>

★今は、ナルニア国物語がおもしろくて、読んでいます。ぼくも、たんすを開けたときにどこかちがう国にいけたらなっと思っています。


★2学期は、「ぼくら」シリーズと「学校クエスト」を気に入りました。本を読むことが好きになりました。本の感想を持つようになりました。


★私は「どうぶつニュース」という本が好きです。理由は、ほんとうにニュースをしているみたいでおもしろいし、その本の内容もとてもおもしろいからです。あと「だじゃれ日本一周」という本もおもしろくて、まえみんなに読み聞かせしたら、みんながもう一回読んで!!って言ったから、何回も読んでいました。この本は、私も読み聞かせしながら笑っていました。またその本をかりたいです。


★スポーツの本がふえていて、すごくうれしかったです。また来年もスポーツの本がふえて、もっと読みたいです。


(スポーツの本はいつも取り合い状態で、その手しか借りない子たちにとってはなくてなならないジャンルだ。こちらも、ガイドブックから選手の自伝、記録ブック、パラリンピックなど幅をもたせて購入には苦心する。この努力に「うれしかった」と書いてくれ、個人的にはよっしゃ!とガッツポーズをした感想。読み物の感想ももちろんうれしいが、ここに気づいた感想は司書としては格別うれしい。)




6年生のまき。
私の勤務条件もあり、6年生までにはなかなか時間がとれないのが現状で図書の時間も不定期だ。いつも悪いなあと思っている。


今年は2学期に、今西佑行の「ヒロシマの歌」(国語教材)を学習する最初にブックトークを持った。
ちょうど4年生でも「一つの花」の時にブックトークをしていたし、今西作品をこの夏はたくさん読んだので、準備しやすかった。
今西さんの実体験(広島の原爆投下の直後に、救護隊で現地入りされている)や、そこからたくさんの戦争を描いた物語を書いておられることを話しながら、本を紹介し、最後に「すみれ島」を読み聞かせして終わった。

4年生では、今西作品の戦争物以外も積極的に紹介する形をとったが、6年生はそこに絞ったため「戦争の物語ばっかり書いている人なんだ」という印象をより持たせてしまったのは、どうだったのだろうと今も考えている。今西作品の魅力は、そこを越えたところにあると思うからだ。
おそらく来年もやるので、この課題は引き続き持っていたい。


★広島のうたを書いた人は、ほかにもいろいろな本を書いているんだなと、ぼくははじめてしって、すごいなと思いました。

★広島のうたを書いた人は、ほかにもいろいろな本を書いていることを知り、読んでみたいと思いました。ほかの本も戦争の話が多くてびっくりしました。戦争が、どのくらい悲しくてくるしいということを知ってほしいのではないかなと思いました。

★私は、ブックトークの中で、読んだ「すみれ島」が一番心に残りました。みんなですみれの花をつんで、戦争に行く人にわたしていた事が心に残りました。戦争に行く人は、その時とてもうれしかったと思いました。今西さんは、どんな気持ちで書いたのか、その時よくわかりました。


★すみれ島という本や、いろいろな少しなぞな題名もあったので「どんな本かな」と思って、読んでみたくなりました。先生が1つ1つていねいに、本の説明をしてくれたので、本の内容もわかりました。話のけつまつはどうなるんだろうと思いました。たくさんの作品があったので、よくこんなに話がつくれるんだなと思いました。


★「すみれ島」では、片道のねん料しかないとっこう隊に乗る人は、子どもからすみれの花束をもらってとっこう機に乗るのはつらいだろうなぁと思いました。また、すみれの花束をおくりつづけた子どもたちも、なにも知らずにおくっていたときはよかったけど、知らされたときはかわいそうだなァと思いました。

★6年生になって、図書の時間が減ったけど、久しぶりのブックトークの時間は楽しかったです。国語で習っていた「ヒロシマのうた」をかいた人の本もたくさん一さつずつ、丁ねいにしょうかいしてもらったのでよかったです。(読んでみたいな〜)と思う本が、何さつか見つかりました。またブックトークの時間があれば良いなと思いました。


「すみれ島」(今西佑行/作 松永禎郎/絵 偕成社