読む・高学年

8月に読む

昨年買っていながら読めていなかったのを、1年遅れでようやく手に取った。 角野栄子の「トンネルの森 1945」(角川書店)。私や、私とかかわる子どもたちにとって親しい存在である「リンゴちゃん」の作者だ。もちろん世の中的には、「魔女の宅急便」の…

大人になってわかったグリーン・ノウ

L・M・ボストンのグリーン・ノウ物語は、子どもの頃には既に出版されていた。 イギリスのファンタジーが好きだった私にとっては、評論社の趣たっぷりなすてきな挿絵の、この物語は読んでみたい作品だった。 中学に入ってから読み始めてみたのだが、私には最…

夏休みの読書②

昨日のニュースで、ヒロシマ・ナガサキの原爆の日を知らない若い人が多いと言っていた。何パーセントかははっきり覚えていないが、答えられる人は半分にも満たなかった。昨日は日曜日ということもあり、例年よりナガサキの原爆の報道をよく見たように思った…

夏休みの読書

夏休みは、目的のない読書を楽しむ期間にしているのだけど、ただこの時期は戦争の児童文学を手に取るようにしている。 特に今年は、積極的に読みたい。 そんな気持ちになっている。私の好きな竹崎有斐の「にげだした兵隊 原一平の戦争」(岩崎書店) 。 題名…

家族のいろんなかたち

読む前は、なんの秘密の一週間なのかと全然別の想像をしていた。 こういう一週間だったのか、と一気に読んでふうっとため息が出た。これは、満足の吐息だ。 島へのバカンスで、いろいろと思い描いていたものとは全く違うことに遭遇してしまったサミュエルだ…

今の時代につなぐ

あれから「家なき子」マイブームが訪れ、図書館で借りた国土社のをアマゾンで購入する際に、ひろりんさんが読み親しんだというポプラ社版も手に入れた。 そして、どちらも面白く読んだ。 ポプラ社版の方が分厚く、出版も古い。訳も懐かしいような文体で、よ…

なつかしいレミ

はじまりは、学校で子どもがこの本がないかと聞いてきたことからだった。 ああ、懐かしいなと思い、でもこんな本を今の子がよく知ってるなと驚いた。 聞いてみると、どうやらお母さんのすすめだったらしいのだが。でもその本「家なき子」は図書室になく、自…

掛け値なく愛するということ

公立の学校って等しく子どもたちが来るところなので、いろんな家庭環境や経済状態の子がいる。 その当たり前の事実にはっとする時が、学校司書だって多々ある。 その子の具体的な事情を知らなくても、垣間見せる会話や表情や反応に厳しい現実を見て、学校に…

絵でこころをあらわす

はや、3カ月近く立ってしまった。 ほんとに今年ったら、もう。あれから、京都国立近代美術館へ、ホイッスラー展も見に行ったのよ。 私の見たかった白のシンフォニーは展示されていなくて、ホイッスラー画集を見てやっと出会えた。白の壁に立つ、白いドレスの…

古い本を読み 新しい発見を

「草の根こぞう仙吉」(赤木由子/作 箕田源二郎/絵 ほるぷ出版 1981)。 図書室の棚を整理していたら、見つけた本。 赤木さんはいま生きておられたら80代半ばで、私の母よりはもう少し上の世代。終戦を18歳で迎えられたということは、戦争中にまさに成長し…

この夏 こんな本

気になってた本だったので、図書委員会で行う選書会(子どもが学校図書館に購入する本を選ぶ)のラインナップに入れておいたのだが…。 こんな表紙の本は、いまの子どもたちはまず選ばない。でも、私はこの本を選び、購入した。 子どもたちが「チュウチュウ通…

いまだから、読書

前の学校のサイクルとは違い、図書の時間がびっちりではないので、いま私の出来ることは本を読んでおく時期にしようと思った。まあ、いまにいっぱいになるのだろうけど。 この何年かとは違う、春。ならば、いまは高学年に聞かれたときに心からすすめてあげら…

風通しのいい物語

家族四人で話し合う家族会議。 だじゃれ好きのパパが命名した「レッツゴー会議」。 なぜレッツゴーなのかというと、その家族の名前は「空井」さんだからだ。 つまり、レッツゴーとは「そらいけ!」の意味でしょ。 空井家の会議だから…レッツゴー会議というわ…

子どもがえらんだこの本⑤  2011

5・6年生のまき。5年生は3クラスを回しているので、子どもたちにすると3週間に1回図書の時間がくることになる。 この子たちが2年生の時に私はいまの学校に来たから、低学年から図書の時間に親しんできた子たちがやっと高学年になったことになる。 何が違うか…

負の感情と付き合うって?

「子どもべやのおばけ」(カーリー・ゼーフェルト/作 倉澤幹彦・本田雅也/訳 福武書店)。自分のなかにある負の感情とうまくつきあえない子どもが多いように、前から思っていた。あって当たり前なのに、認められないからないものとして扱ったり、逆に正当…

無理のない展開  これ貴重です

「ママ・ショップ 母親交換取次店」(セン・ジェンキンソン/作 斎藤静代/訳 主婦の友社) 「母親交換取次店?」 まず、この題名に高学年の子どもは心ひかれるようだ。 どこの家にでもいるだろう、こうるさいお母さん。 テレビやゲームの規制をし、成績にう…

読んだこちらも漂泊して

「漂泊の王の伝説」をもう一度読み返した。 二度目だからわりと冷静に読めて、ワリード(漂泊の王)に添うことが出来た。 途中から、高学年にどう紹介しようかと思いながら読んだので、実はもう純粋な読書とは言えないんだけど。でも、客観的に見ればこの物…

もうひとつの資格

ただいま1年生の図書カード、取組スタートしてから平均3〜4冊め。10冊まで、まだもうちょっとですな…。 がんばれ、がんばれ。 新刊ほやほやの「つづきの図書館」(柏葉幸子/作 山本容子/絵 偕成社)を買った。 図書館が舞台になったものは、つい手にと…

愛すべき林さん

この「最後の夏休み 〜はじまりの一滴をめざして〜」(三輪裕子/作 佐藤真紀子/絵 あかね書房)は4年生の単元で浄水場や下水場を学ぶ時にブックトークを頼まれるのだが、よく入れる一冊だ。 多摩川の源流をめざして、キャンプを計画し実行する子どもたち…