なるほどな

最近、図書室にある古い本から探索し、読んでみるのがマイブームになっている。
そのなかの1冊、「ミリ子は負けない」(寺村輝夫/作 フォア文庫 初版は1979)のあとがきにとても共感することが書いてあった。
宮川ひろさんが書いているのだが、寺村さんが語った言葉を紹介するなかで、こんな箇所があった。

「幼年童話は描写を拒否します。描写でなく主人公の行為や行動でものがたるもの、それはむかしばなしと共通するものです。
そう教えてくれたのは、寺村さんでした。」


そうなんだなあ。
描写では、子どもたちの心に届かないのだ。
行為や行動で、主人公の人格が出ていないとだめなのだ。
でないと、説明っぽくなってしまうのだ。

だから幼年童話は、とても高度な文学だと思う。
昇華されて原石になったようなお話になるから、それを試みる作家は大変だと思う。
でも、だからこそ幼年童話の名作は小さい人も大人も、同じように感動出来る。


先日、村上しいこの作品を読み聞かせしていて、なんとなくもやもやしていたことが、この寺村さんの言葉でぴかっと晴れたようになったのだった。
村上しいこは、面白いのだ。
でも、もっと書けると思うのだ。
突然心理描写が入ってくる。
そこいらないのになあ…と思っていたことが、私のなかですっとつながった。


この「ミリ子は負けない」も、いいよ。
背が低いからセンチじゃなくて、ミリ。そんなあだ名をつけられた転校生の女の子。
でも、「あたし、ミリ子っていうあだ名、気にいったわ。あだ名って、ふつう、いやなものよ。前の学校ではチビ子、マメ子っていわれたの。そんんなのぶじょくよ。だけど、ミリ子っていうの、いい感じ。」という。
自分で、こんな風に思って自分で選ぶっていいな。


マイブーム、しばらく続きそうだ。