図書館で借りて

「絵本 マボロシの鳥」(太田光/作 藤城清治/影絵 講談社

とにかく藤城さんの影絵に圧倒される。
ただきれいなだけでなく、魔人チカプーの不気味な登場、「マボロシの鳥」の妖しい美しさ、オリオン劇場の強欲支配人のふてぶてしさ…。

いきいきとした絵が、物語を何倍も魅力的にさせている。

子どもの頃、母の買っていた「暮らしの手帖」に、藤城さんの影絵物語がいつも載ってたんだよね。
ジュヌパンドル(藤城さんの影絵劇団)は大人になってから観た。

とにかくこの本は2人のコラボがいいなあ!


「ヴィンニ!シリーズ」①日曜日島のパパ②ヴィンニとひみつの友だち③ヴィンニ イタリアに行く④われらがヴィンニ(ペッテル・リードベック/作 菱木晃子/訳 杉田比呂美/絵 岩波書店

ヴィンニのパパとママは別れてしまった。ヴィンニは、普段はママと暮らし、長期の休みはパパと過ごす。
パパとママが一緒にいるととても幸せに思うけれど、大人の事情も少しはわかる。
何よりもパパもママも臆することなく、そのままの自分を出してヴィンニとつきあってくれる。

スウェーデンの教育事情や子ども観、親子像などが、日本とくらべてすごく自由でやわらかい。
先生のかたくなさがちゃんと描かれ、しかも人間らしいから「こんな人いるいる」と思うが、嫌な気持ちにはならない。
ヴィンニの感性が、いいなあと思う。

やっぱり、パパとママがいいんだな。

杉田さん描くヴィンニも、ぴったりだ。
こういう本を楽しめる小学生が増えてほしいなあ。




「王さまと九人きょうだいの世界」(君島久子/著 岩波書店

君島さんの手によって、中国の楽しいお話がどれだけ日本の子どもたちの届けられたのだろうか。その功績ははかりしれないほど大きい。
この本は中国児童文学の研究者でもある君島さんが、数多くの文献をひもといて「王さまと九人きょうだい」の類話(中国には多民族が共存していて、それぞれに伝わるお話がある)を紹介しながら、奇想天外な力を持つ兄弟たちの魅力を語る。
またその背景にある中国の歴史や、そこで生きる庶民の暮らしに思いを馳せ民話の持つ深さに迫っていく。
そのお話によって9人だったり、10人だったり、8人、5人…と兄弟の数は様々で、また何の力を持つかもいろいろで、くらべてみるのも楽しかった。

私自身大好きな絵本で、子どもたちにも繰り返し読んできたので、とても勉強になり、また他の類話も話してやりたいな…と思いながら読んだ。