大人は大人 子どもは子ども
この本は1996年出版となっているけど、作者の経歴を見ると1908〜1987だから、おそらくずっと昔に書かれたものではないだろうか。
1993年に「母の友」に訳出、連載されたものらしい。
なぜ年代にこだわるかというと、いまの人が書くものじゃない魅力を感じるからだ。
夏に海の別荘に行った母子たち。
ベーロチカは、色の白い小さな女の子。タマーロチカは、色の黒いちょっと大きな女の子。
「ふたりともいうことをきかない子でした。」
とある。
ほんとに自分のしたいやりたい衝動に忠実に生きている。
そして、その代償はしっかり彼女たちにかえってくる。
でも、またやる。
それが、おもしろいんだなあ。
お母さんに黙って海へ遊びに行き、裸んぼで熱中していたら、服一式を盗まれて丸はだかで帰らなければならなくなってしまう。
森にきのこを取りに出かけ、お母さんの声にわざと返事しないで隠れていたら、お母さんは遠くに行ってしまい姉妹は本当に迷子になってしまう。
インクをひっくり返す場面の、どきどきすることといったら!
大人は大人、子どもは子ども。
それぞれの世界にしっかり生きていることが、とても素敵だ。
そして、そのことは今の社会のなかでは、残念ながらなかなかお目にかかれないのだ。
きのこにお塩をつけて食べるかどうかの、ベ−ロチカの質問とお母さんのかんしゃくが、私の可笑しいつぼに入ってしまい、ひとりで声を出して笑ってしまった。
聞かずにいられないベーロチカ。
いかにも。
こういう子って、いる。
そして、たいがい雷を落とされる。
ああ、面白い。