月に住んでいるのは

月に住んでるのはうさぎって思ってたのは、日本人だから?
何でも、ヨーロッパでは月おとこが住んでるそうな。

他にも、いろんな説があるのかな。



先日、「月おとこ」(トミー・ウンゲラー/作・絵 田村隆一/訳 評論社)を1〜4年生に読んだ時のこと。
低学年たちは「え〜、月にはうさぎが住んでんねん。」「もちつきしてるねん。」と言ってたし、私も「そうよ。先生もそう思ってたけど、この本には月おとこがいるって書いてあるよ。」と答えていた。
すると、4年の先生が子どもたちと一緒に座って聞いてくれていて、「あのな、国によっていろんな説があるらしいよ。ヨーロッパはそれみたいよ。」と教えてくれた。
そうなんだ。
それで、月おとこか。


月から地球を眺めていた月おとこは、仮装パーティをして踊っている地球人の姿を見て、おもしろそうだなと思った。
そして流れ星のしっぽにくっついて、地球に降りてきちゃった。

でも勢いが強すぎて、さかさまで地面にドスン!
その爆音にびっくりして、警察がかけつけるんだけど。
なぜか関係ないアイスクリーム屋さんまで、全力疾走!

ここが妙に気になる私。
「なんでアイスクリーム屋さん、急いでるねやろ?(急いでるんだろう)」
「からすのパンやさん」にいろんな職業のカラスたちがかけつけたみたいに、便乗商売をたくらんでいるのではと私は思うんだけど、子どもたちがどういうか黙っていた。
すると、「月おとこに食べさせてあげる。」「アイスを穴に放り投げて月おとこの目を覚まさせる。」という意見が。

みんな優しいんやなあ。


そして、不審な奴だとつかまった月おとこは牢屋へ…。

足にはおもりつきの鎖。
「かわいそうね。」私が言うと、2年生のKは「あっ、バクダンや!」
ふふふ。
確かに、丸いおもりはバクダンに見えなくもない。
Kは、爆発しちゃうと思ってすごくあせっていた。

しかし、牢屋の窓から見える月が日ごとに細くなっていくと…月おとこの身体も少しずつ消えてきて…
子どもらは「ああ、そういうこと。」「ふ〜ん。」

ウンゲラーの絵が楽しい。色がきれいだ。黒と青白く光ってる月おとこの白のコントラストがいい。
ぽってりまるい月おとこの姿が何ともユーモラスだ。

田村隆一の訳が、雰囲気があってすてきだけれど、今の子どもたちにはちょっと骨っぽすぎるので、ところどころかみ砕いて読むことにしている。

ちょうど、十五夜が昨日だったという日に読んだ。

「今日も晴れてるから、まだ真ん丸に近いお月さまが見えるはず。今夜、見てみてね。もしかして月おとこらしきものが見えた人は、先生に教えてね。」
1年生はうんうんとうなづいていた。


「すてきな3にんぐみ」の作者だけれど、他にもおもしろい絵本はたくさんある。ウンゲラーの古い絵本は、閉架図書になってる場合が多い。とても残念だ。