ぬくの、手伝って!

朝、図書室の戸を開けるなり「なあなあ、どんな人形作るの?」と言いながら入ってきた子どもたち。

先日終わりに告知したから、それを聞いていて翌日来た子もいるが、久しぶりに顔を見る子も多い。図書だよりで「人形劇だから」と選んで来たのだろうか。
授業での図書の時間の顔とはまた違い、自分の意思で来ているのが伝わってきて、夏休みの図書室はまた雰囲気が変わるのが面白い。

最初に絵本の「おおきなかぶ」を読み聞かせして、言葉のリズムと佐藤忠良さんの絵をたっぷり楽しむ。じっくり見ると、かぶが抜けない度にみんながへたり込んだり動物たちも思い思いのかっこうで、ほんとに見飽きない。
「今日は、このおおきなかぶのテーブルシアターをします。」と言って、登場人物の人形をひとつひとつ取り出して紹介する。
「まご」が出る時に「かわいいよ」と私が言ったら、男の子が「かわいくない。若いお母さんみたい。」と言ったのがおかしかった。

そして、今日つくる人形(先日より時間短縮を考えて、新聞紙に半紙を重ね貼りするのに加え、スポンジの頭を用意した)を紹介して、動かしながらしゃべらせると、もうみんな人形を見ている。
だから、面白いんだな、人形劇って。
こんな素人の人形師?の手による操りだって、子どもたちは私でなく人形の動きを追っているのだから。
これが、人形劇の魅力なのだ。

この日のゲスト、サニー文庫のKちゃんと見本をいくつか作ったのだが…。
(下の写真のね)

しかし当日、子どもたちは作り始めると、それぞれ独創性にあふれ面白い人形が出来あがり、見本とは似ても似つかぬものに仕上がった。
大体見本はそこらに転がっていて、ほっておかれていた。

Kちゃんは、「みんな見本、全然見てないし。それがすごいなと思った。」と言っていた。
私も、そう思った。
それが、嬉しかった。子どもたち、やるなァ…と。

だって、サンショウウオまで出てくるんだから。
かぶをぬくのよ、サンショウウオが。
いかしてるよねえ。



最後に作った人形を持って集まり、おおきなかぶのテーブルシアターをした。ねずみが出てきて、ほんとはやっとかぶが抜けるんだけれど、今日は「まだまだ まだまだ ぬけません」。
「お〜い、誰か手伝ってくれよう!ちゅうちゅう。」とねずみ。

ドキドキしながら恥ずかしそうなみんな。目が合うと人形隠したりして。
でも「いいよ」って言ってくれた子がいた。
「名前なんだった?」
「大元気(だいげんき)。」


♪かぶを ひっぱる おじいさん
それを ひっぱる おばあさん…
それをひっぱる 大元気! ♪


その友だちが作った、兄弟のような似ている人形は「大元気Ⅱ」。
次は「リボンちゃん」。
そして…次々と登場してくれ、列は長くなっていった。

ラストは、サンショウウオ
つくった5年のUに聞くと、「ななしのごんべ。」

いつのまにか、名前の連呼を子どもたちも一緒に言ってくれていて、「やっと かぶは ぬけました」!



ゲストのKちゃんの、おはなしと読み物もKちゃんらしさがすみずみまであって、子どもたちはすっと受け止めていた。
「てんてんてん」を見て、あとで「のはらうた」を借りている子がいたよ。ありがとう。
そして、Aさんもありがとう。

子どもと同じくらい私も楽しんでいられたのは、彼女たちのフォローのおかげだ。

人形がかばんに入らず、手に持って帰った子どもたち。
家で遊んでくれるかな。
ある材料で、さらに作ってくれるといいな。