みんなで三角ずわりして

先週末に久しぶりに本屋に行き、見つけたのが「おでんさむらい」(内田麟太郎/作 西村繁男/絵 くもん出版)。
西村さんの絵がよくて、何よりも巨大なかぶとむし「かぶへい」がよい、よい。金たろさんの前掛けして、歩いてるんだから。
その日買ったのは、「こぶまきのまき」。
このこぶまきが、何かっていうと…そこがクライマックスなのだが。

3・4年生の最初の図書の時間に、さっそく読んでみた。
「なんで、そんなにかぶとが大きいねん。」
「なんで、名前がおでんやねん。」
聞こえてくるつぶやき。


ちなみに、さむらいの名は「ひらた・おでん」という。

時代物設定なので、雰囲気がわかるようなわからないような聞き手の子どもたちだったが、内田・西村コンビのマジックにいい感じでだまされた風で…。

たまにはこんなお話もよいのだった。

もう一冊は、前から読もうと思い用意していた「しんと、しずかなほん」(デボラ・アンダーウッド/作 レナータ・リウスカ/絵 江國香織/訳 光村教育図書)。

緊張の頂点の「しずかさ」。解放感の「しずかさ」。優しい思いやりの「しずかさ」。不安ただよう「しずかさ」。

しずかななかにも、いろんな感情がある。そこを、うまくすくいとって並べている絵本だ。

「あめをたべるしずかさ」
一心になめる。静か!こんな時、あるよね。
「こそこそないしょばなしのしずかさ」
絵は、ないしょばななしをする二人を、不安そうに見つめるもう一人。
こんなこと、ある。みんな覚えがあるのでは。

みんなに聞くと、「あるある!」「聞かへんふりして、聞いてるねん。」やっぱり、あるんだな。でも、そうやって口に出せるっていいな。この瞬間を「しずかさ」と表現するところが、この絵本はすごい。

「もうねなさい!っていわれたときのしずかさ」
みんな、うんうんと共感。
「寝たふりする?」と聞くと、「する!」「でも、戸しまったら、また起きるねん。」
やっぱりね。みんな、そうなのね。


新しいクラスや、新しい先生とのつきあいは、はじまったばかり。

そんなちょっと緊張した日々のなかに、ひょっこりと図書の時間。
おなじみの図書室で、同じように三角ずわりをして読み聞かせを楽しむ。
自分の好きな本を、本棚から選んで借りる。

友だちと同じ本が借りたくなり「次、ぼくな。」「返したら、言うてな。」と約束し合って。

子ども読書の日のイベントより、こんな日常の保障をしっかりする方が四月って、大事だと思うよ。あ、つい本音が出てしまった。