一週間待って つづきを

「りんごちゃんとのろいさん」後半の読み聞かせ。

1年生は、図書室に入って来た時から「なあなあ、りんごちゃんやな!」「続きやで、先生。」と期待度まんまん。
読み手のモチベーションを上げてくれるではないか。

2年生は、本を見ると「ああ、そうやった」。
「先生、こっちから読んで。」「いや、後で読んで。」
これって、好きなおかずを先に食べるか最後までとっておくか、みたいね。うるさく言い合う元気な2年生。

読み始めようとすると、先週休んだ子がいた。
「わたし、知らんねん。」
「そうか、そうか。じゃあ、みんなもおさらいしような。」
前半のお話を振り返る。口添えしてくれる子も多い。みんなよく覚えてるなあ…。


3年生は、「話覚えてる?」と聞くと、もうみんな準備OKで、無言。
(先生、前置きはいいから早く読んで。)
(私たち、誰だと思ってるの)
と目力がびんびんに伝わる。
あなたたちも成長したわね。そう感じる一瞬。


後半は、のろいさんの大活躍だ。
りんごちゃんたちを食べようと思ってるのだが、その行動と言葉がアンバランスでおかしい。
木になったのろいさんに、頭についた糸一本でつりさげられるみんな。
揺らそうと、大きく息を吸い「はあぁ〜〜」と息を吹きかけるのろいさん。
「のろいさんの息って、くさいと思うわ。」と言った子。
そう感じる想像力のひろがりが面白い。
「糸一本で切れないのかな。」
「痛いやろなぁ…」
みんな、思い描いてるのだ。


存分に想像の世界で遊んで、最後のページ。
絵をそれぞれ描いたみんな、
マイちゃんの絵。りんごちゃんの絵。チャンピオンくんの絵。
文字はない。
「この絵はなに?」と聞くと、みんなあれこれ答えてくれた。
チャンピオンくんの絵が、面白いんだ。
答えはないから、私の想像でしかないけど、子どもたちに「先生はこう思うんやけどな…」と話すと、「あっ、そうか!」。
触発されたように、次々と連想したことを話してくれた。


最後に、どのクラスでも「なあ、ケイくんの絵は?」
そうだ。子どもは鋭い。
ケイくんはひとり他人なので、後日絵を描いた時にはいないのだ。
大人はそこまでなかなか気付かないなあ。
さすがだなあ。私は、感心する。

「ケイくんやったら、どんな絵描くかなあ?」と聞くと…。
「そうやなあ…」

また空想の翼は、広がっていくのだった。



<追記>
先日5年生が、急きょ図書室に来ることになった。
久しぶりだし、どうしようかな。
「渡したい」本はいっぱいあるけれど…。

ふと「りんごちゃんとのろいさん」を読んでみようと思った。
5年生になると、あからさまに反応しない。子どもっぽい話のはずなのに、なんだか先が読めない展開だなあ…しーんとしたなかにいろんな表情が見える。
途中で、空気がぱっと変わった。他に気をとられてこそこそ話し出した子がいた。
読み聞かせの雰囲気なんて、ちょっとしたことでガラッと変わる。
突然、この雰囲気を壊したい衝動にかられた。

ちょうど前半の終わりだったので、「さあ、つづきはまたね。知りたい人は後で読んでください。」

子どもたち、ポカ〜ン!
だって、唐突だもん。

「次の本読むね。」と「八方にらみねこ」の世界に強引に入っていった。
でも、さっきの散漫な空気は消えた。

2冊を読み終わり、自由読書の時間になった。
「りんごちゃん」をわざと置いておくと、男子が数人本を取り囲んで読んでいた。
カウンターに来た女の子が、「八方にらみねこ」貸して、と取りに来た。
渡すと、私が文中でふしをつけて歌ったのをまねて、♪みけの目 すごい目 (本を)ありがとう♪と替え歌で答えたのがおかしかった。


いろいろ試す私と、いろいろに受け取る子どもたち。