ぶっとびナンセンス

学校での購入を待っていたら先になってしまうし、市立図書館でもこれといったものがない。
こんな時に大きな本屋にいったら、だめですよ。
あなた、それは…つい、買ってしまいます。




「まないたにりょうりをあげないこと」(シゲタサヤカ/作・絵 講談社)を見つけたのは去年の秋だったかな。立ち読みして、思わず声に出して笑ってしまった。
まないたが、こっそり上に乗った(つまりコックが調理中の)食材を食べているお話。
料理をつくるコック集団が超忙しいなかで、ある日ひとりのコックが食べているまないたを発見する。
見られたまないたは、「ねえ、こっそりちょうだいよ。」とすりよる。
コックは「しゃあないなあ。」

そして1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月…ええ〜〜〜!
まないたが太っている!


こんなシュールな話のなのだが、絵がいいんだよね。
まないたのおじさんのような顔、コックの黒目のない不思議な目。
忙しいレストランの調理室で働くコックたちの姿も、ひとりひとり面白い。

子どもたちは、いっぺんにこの絵本が好きになった。



さて、今回見つけたのはこのシゲタさんの新作「りょうりをしてはいけないなべ」。
裏表紙には、おなじみのコックたちが描かれている。

さっそく週明けに3年生に読んだ。

本を2冊持って子どもたちの前に立つ時、私はいつも裏返しにして持つ。お楽しみにおいておくからだ。
子どもたちは「今日はなに?」「どんなの?」と前を見たがるし、めくろうと手をのばす子もいる。

でも、その日は私の手元を見たとたん、前列の子たちが「あっ!あの本や!」「あれや、あれや!」。
とたんにガヤガヤなりはじめた。
裏表紙から、あのコックたちが見えたからだ。


私はこんな時、子どもたちの感性にいつも舌を巻く。
本の装丁、文字レイアウト、同じ画家の見分けなど、本当に鋭い。
感覚でとらえ、またそれを覚えている。
こんな感性に触れるたび、いいものをたくさん出会わせてやりたいと心から思う。


そして期待高まるなか、読みましたよ。
今度のなべは、また口がついてるんだよね。
そしてすぐ吹き出して笑っちゃう癖があり、中のお料理が口からザバーッと流れ出てしまう。
さらに嫌いな食材は、プププ…とはきだす。

まないたと匹敵する「困った君」なのだった。

「どうなるのかな?」
「え〜〜、最後は?」
3年生は、ドキドキハラハラ。
今度もたっぷり楽しませてくれた不思議なレストランシリーズなのだった。


さて、この2作目にまないた君が登場している。
もしかして、これを読んで子どもたちに読んでみようかな…と思われる方は、ぜひ1・2作を順に読んでほしいな。
そして、まないたの存在は黙っていてほしいな。

ぜったい子どもたちが見つけるから。

見つけた子は、ものすごくうれしそうで「どこにいる?」と聞くと、
たあっと走って絵本のことろまで来て指さしてくれた。

どうかその発見を、子どもたちに残しておいてほしい。