たんじょうび


今日は、私の誕生日。
なにか、いいことあるかな?


実習中の娘は、バタバタと行ってしまった。
私も、もうすぐ出勤です。




この絵本は、日ごろ大切にしてもらっているリゼッテおばあちゃんの76歳の誕生日に、動物たちがお祝いしようと大奮闘するおはなし。


作者のハンス・フィッシャーは「こねこのぴっち」で有名だけれど、このおはなしも、とてもいい。
流れるような線で描かれる絵は、躍動感があり心とびはねる動物たちを生き生きと存在させている。
子どもたちは、こげたケーキに粉砂糖をふりかけてカムフラージュさせるところが大好きで、読むたびにどの子もこげた味がしなかったか、最後まで気にする。



大好きな人に喜んでもらいたいと思い、自分に出来る限りのことをする。その心根に、いつも胸があたたかくなる。


一日の仕事を終えて疲れて自宅にたどりついたおばあちゃん。
いつも走って出迎えてくれる動物たちが、今夜はだれもいない。


どうしたんだろうと不安になるおばあちゃんに…
すばらいしい「たんじょうび」が待っていたのだ。



「あんまりうれしくて、リゼッテおばあちゃんはなきました」


ここで、いつも私は涙がでそうになる。
打算も何もない、掛け値なしの相手を想う気持ち。
余裕がなかったり、自分のことで精いっぱいだと、こんな気持ちにはなれない。
おばあちゃんは、ほんとにほんとに、うれしかったんだろうな。


でも、リゼッテおばあちゃん。
それは、あなたが掛け値なしで動物たちを愛してあげたからよ。



「たんじょうび」(ハンス・フィッシャー/作・絵 大塚勇三/訳  福音館書店)。