ようこそ 小さいいきものさん




カタログで見ていて前から「にわのちいさななかまたち」(A・クリングス/作 奥本大三郎/訳 岩波書店)がほしかったのだが、ちょっと幼児向けかなあという感じもし、なかなかふんぎりがつかなかった。



でも、昨年図書予算が多くついたこともあり、図鑑好き・虫好きな低学年少年たちが絵本を読む足がかりにとセット(全10巻)で購入した。

そしたら、これが面白いのだ。

まず色がきれい。
作者はあのウンガロのデザイナーをしていたのだという。

フランスらしい粋な色使いで、見ているだけで心が浮き立つ。
こんな色の洋服は私は普段着ないけれど、このピンクやブルーならいいか、と思うくらい。


話も庭の小さな仲間たちが主人公で、「のみ」「はえ」「蚊」「ほたる」「てんとうむし」「しらみ」…ひとりひとりの可愛いこと。
小学生でも充分楽しめる内容だった。

訳は、あの「ファーブル昆虫記」の訳で有名な、奥本大三郎氏。
リアルに昆虫の生態を描いたファーブルに魅せられた人が、この小さな世界のファンタジーに良さを感じているのが、私には興味深かった。

私のおすすめは、全10巻のうち写真の3冊なのだが。
ひとつだけ紹介すると…。

「蚊のフレデリック

蚊のフレデリックのお父さんはお医者さん。息子を医者にしたいとお父さんはやっきになっていますが、フレデリックは医学の本なんか面白くないし、いや。
そんなある日、フレデリックが1人の時、ほたるののキャロルが「光が消えちゃった!たすけて〜!」と飛び込んで…。
どうしたらいいかと思ってると、お父さんが帰ってきてキャロルに無理やり注射をした。
「たすけて!たすけて!」

え!?
そう叫んでいたのは、キャロルではなく、なんとお父さんだったのだ。お父さんは、なめくじに変わっていたのだった。

「あたしが悪いんじゃないわ。注射がきらいなんだもの。」
しくしく泣くキャロル。

なんでそうなるの?


まだラストではないよ。
つ・づ・く。

面白いと思ったら、つづき読んでみてね。
こんな不思議なお話ばかりのシリーズなのだ。