あたたかな 目

中間休みに1〜2年生たちがかけつけてきた。
1年生は、さっき本借りたばかりなのに…あれ、もう返してる。

ははあ、「しおり」だな。

本を借りたら、机のところで読んで、しばらくしたらまたカウンターに返しに行って…。
やってる、やってる。

図書委員(5年)のAちゃんは、黙々と返却印を押していた。

図書カードをもって1・2年の子どもたちは、私のところへ見せに来る。
「あと、4冊やで!」
「雪だるまのしおり、まだあるやろか。」

ベルが鳴り、休みが終わりを告げる。
低学年たちは、ばたばた帰って行った。

当番日誌を書いていたAちゃんが、
「わたし、ずっと黙って見ててん。ぺらぺらと本めくって、すごい早さで読んで、また返しにきたよ。」
そして、
「しおりがほしいんやなあ。」
と言った。

その言い方がとても温かかった。
ずるしてる、というような非難めいたニュアンスは全然なかった。

私はうれしくなった。


「そうよ。低学年は、あななたたちが作ったかわいいしおりが、すごくほしいの。だから、ぱっぱっぱと見て、本返しに来ても、今は大目にみてやってな。それでも、何度も図書室に足運ばないと10冊にはならないんやから。じっくり読もうというのは、先生がまたおいおい言うしな。」


Aちゃんは、「わかった。」とにこにこしていた。


高学年らしいAちゃんの振る舞いに、あたたかな目に、心がぽかぽかしたひととき。