こんなことって













図書館へ行った時に、「ぞうのエルマー」を手に取った。
絵は何度も目にしているが、じっくり読んだことがなかった。
借りて帰り、あらためて読んでみるとなかなかいい。
絵に勢いがあって、最後に「エルマーいろ」になったゾウたちが何ページにもわたって行進しているところが、すごく気に入った。
そこは文章がなく、ただゾウたちが続いているのが特にいい。

学校で2・3年生に読んでみたら反応もよかった。
エルマーがゾウいろになって、他のゾウたちにまじるところは、よく見たら「ここがエルマーだな!」とわかる。
子どもたちはすかさずエルマーを見つけ、くすくす笑い出した。
「BOOO!(ブォオオオ!)」
と鳴く迫力も満点!
何人かが「この本借りられないの?」と聞きに来て、私は「図書館の本だからごめんね。学校図書室に入れるように本屋さんに頼んでおくね。」と言ったのだった。

そして先日、本屋でエルマーの絵本のことを思い出し、探したら…あったんだけど。シリーズになって、とてもたくさんあったんだけど。

私が読んだ本とは、訳者も出版社も変わっていて本のサイズもひとまわり小さくなっていた。
立ち読みしたが、エルマーの色とりどりの体の形容を「つぎはぎのまだら」と表現されていたのが、この本では「パッチワーク」に変わっていた。
そして、最後のゾウたちの行進は1ページで終わっていた。
(いま新版が手元にないので、思い出して書いている。詳細が若干違ったらごめんなさい)

当然訳の印象も、違っていた。
ちょっととらえどころがなくて、でも天真爛漫ないたずら好きのエルマーは、なんだか単純明快なエルマーになっていた。

後でネットで検索したら、訳者の安西徹雄さんという方は2008年に亡くなられていた。大学の先生でシェイクスピア研究をされていたそうだ。多分アリス館の本は、いまは絶版ではないかと想像する。


なんだかなあ!


別に、新版エルマーが悪いわけではないのだ。
訳のきたむらさとしさんは、作者デイビット・マッキーの友人らしいので、きっと作者の意図もちゃんと組んでるに違いない。

でも、最初に「これがいい!」と思った人間にとっては、リメイクというのは受け入れられないんだなあ…と思った。
私は、安西徹雄・訳のエルマーにやられてしまった。
1976年初版だそうだ。
いまどきの本にくらべると、文章は長い。
でも、いいんだ。こっちの方が。


多分私はBL出版の新版の方を学校で購入するんだろうな。
そして子どもたちは、新しいエルマーを受け入れてくれるんだろうな。
そうなんだけど。


なんだかその時に思ったことは忘れたくなくて、ブログに書くことにした。

たとえば…。
大好きな人に出会えたと思ったのに、その次の日に彼に恋人がいるってわかったような、行き場のない喪失感がある!
(なんだかこのたとえもあってるような、あってないような…)