商談成立

獣の奏者 (3)探求編
そうじの後のかすかな空き時間にやってきた6年生の彼。
ぼそっと、「先生、獣の奏者の続き出たやろ。」
ああ、この子は5年生の最後に1.2巻を読んだんだっけ。
3年近くの時期を経て、この夏ついに3・4巻が出たのだ。
上橋ファンは全国でも多いので、待ちに待ったと喜んでおられる方も多いだろう。もちろん私もその1人だ。
「うん、学校で頼んでるよ。まだ来てないけど。」と私。
「ぼく、もう買ってもらったで。」
「えっ、そうなん?」
シリーズものの次巻が出ると、読み進めてる子はひたすら図書室に入るのを待っている。しかし、なかなか学校というところは迅速には対応出来ない。
待ちきれなくて市立図書館で借りたり、家で買ってもらったり。
一部の本好きな子たちには、そういう子もいる。
この「獣の奏者」(上橋菜穂子/作 講談社)は先生たちにも人気があり、うちの学校も口コミで広がって「エリンいいよね。」「泣けてきたわ。」などとしゃべりあうのが楽しかった。
司書だから最初に読めると思ったら、これが難しい。
新刊受け入れ作業をしていると、目ざとく見つける子どもたちに先をこされ借りられていくことも多いのだ。
そういうわけで、多分「獣の奏者」は私の手元には来ないだろうことが想像されるので…
「ねえ、先生にその買った本貸して。」
「え〜、学校に入るんやろ。」
「それが、君みたいに待ってる人が多くてね、先生のとこにはすぐこないような気がするの。」
「なるほどね。いいよ。」
「やった!」
大人げなく喜ぶ私。「いつもってくる?」なんてほんと子どもみたい。
「かわりにな、4巻はぼく1番やで。」
「えっ、持ってるんちゃうのん?」
「3巻しか買ってもらってないねん。」
そりゃあ一冊1680円もするんだもんね。考えてみりゃ、二冊もいっぺんに買ってもらえないよね。
「よし、わかった。1番にする。」(えらい権限ね、司書って。同業の方はくれぐれも真似しないでください!)
「やった!じゃあ、もってくるわな。」

商談成立。
楽しみに明日を待ってる私。

とうことで肝心の「獣の奏者」の具体的な良さを全然語れずに終わってしまうが、私が姑息な商談するほど魅力的な本なので、まだの方はぜひ読んでみて下さい。