あこがれの人


今夜は雨がふっていて、家族は誰もいず私ひとりだ。
少しさみしい気分なので、元気の出る本をと思い本棚から出したのが「めうしのジャスミン」(ロジャー・デュボアザン/作・絵 童話館出版)。
ジャスミンはある日、羽かざりのついた帽子を見つけおおいに気に入る。農場にいる他の動物たちは、帽子をかぶったジャスミンをこてんぱにけなす。
ひつじのローズは言う。
「自分だけ、みんなとちがっているのはいやでしょう?」
ジャスミンは答える。
「あなたは、あなたのおもうようにすればいいのよ。
それでいいんじゃない?
わたしは、わたしのおもうようにするわ。だれでも、その人らしくすればいいのよ。」
日がたつにつれ動物たちは気持ちが変わり、だんだんジャスミンのようにみんな帽子をかぶりだす。
すると今度は、帽子のお祭りのようななかで、ひとりジャスミンは帽子をかぶらない牛になるのだ。
またみんなは勝手に噂する。
「みんなとちがうことをしたがるめうしなんて、ろくなめうしじゃないのよ。」
「めだちたがりなのよ。わかってたわ。」
そして…。


自分の好むものに正直なジャスミン
「誰でもその人らしくすればいい」という生き方をみんなが出来ないのは、本当は「わたしの思うようにすること」が何なのか見つけ出せないからなんだろうな。

ジャスミンは、ある意味私のあこがれの人だ。
言い訳をせず、態度で生きていく。
あっぱれな人。

デュボアザンの絵がとてもいい。おしゃれで自由闊達なジャスミンが生き生きと描かれている。
他の動物たちがあれこれ思案する姿も、とってもいい。あこがれなだけに、私には普通の人であるみんなが右往左往するのが切なくてよくわかる。