その時しか感じられない

 


2年生の図書の時間。
「いがぐり星人グリたろう」(大島妙子・作/絵 あかね書房
 かきの木にひっかかっていた大きないがぐり。
 なんとそれは宇宙船だったのだ。
 なかから、へんな宇宙人?が出てきた。それがグリたろう。
 お人形のポンチョを着せて、ぼくの家の家族になった。

 大島さんの書き込まれた絵を、時には説明しながら(後ろの子は見えないので)読み進めていく。
 
 楽しく暮らしていたのに、おやつに焼き甘栗が出たら急に泣き出したグリたろう。
 「なんで、泣いてるんかな。」
 「宇宙の仲間に会いたくなったんや。」
 「似てるのいっぱい出てきたからや。」
 口々にささやく子どもたち。

 ついに宇宙からお迎えがきた。雪がちらつく冬の夜。
 地面びっしりと埋めつくしたいがぐり星人たち。
 「うっわあ、きもちわるいわ。」と誰か。
 このシーンの絵は迫力がある。

 ついにグリたろうは宇宙船に乗って故郷へ帰っていく。
 涙でいっぱいのぼくの家族たち。

 そして最後のページ。
 家のなかで焼き甘栗を食べている家族たち。
(やっと心おきなく食べられるようになったんだね)
 外で、宇宙船?あれ?
 ぼくの家のお人形が、いがぐり宇宙船に乗ってる。なんで?

 答えはかいていない。絵だけ。
 「どういうことやろうなあ。」と私。考えがあるわけじゃないけど、思わず子どもに聞いてしまう。

 「グリたろうと人形仲よかったし。宇宙についていくんちゃう?」
 「グリたろうも一緒に乗ってるんかなあ。」
 「もう帰ってきたん?」
 なんてみんな、それぞれ勝手に言っていた。面白いなあ。いろんな風に感じるんだ。

 あとで女の子が2人やってきて、私にそっと言ってくれた。
 1人は、「先生、私はグリたろうは、またすぐ遊びにくると思うねん。」

 もう1人は、「私は、この人の本みんな好き。家に足がはえるやつも、この人の本やなあ。」
 そう。1年生の時に同じ大島さんの「たなかさんちのだいぼうけん」を読んだことを覚えてたんだね。伝えたくてかけよってきてくれたのが、とてもうれしい。
 
 その時しか感じられない感想。
 そんなつぶやきがとても楽しいし、私にとっては一緒に読み合ってると実感する瞬間だ。