年末の会話

年末、母と話をしていて。

「お母さん、私、小さい時から本好きやった?」
「そら、好きやったなあ。」
「4人のなかでも、一番?」(私、4人姉妹です)
「お姉ちゃんが小学校入って、家で教科書読んでるやろ。あんた、横でちょこんと座ってじっと聞いてるんやで。いくつやった、お姉ちゃんが1年生やから、4つか。」
「ちがうえ、お姉ちゃんと私は4つ違いなんやから、お姉ちゃんが1年生やったら、私は2歳から3歳にかけてくらいやんか。」
「え〜、そんな小さかったんかいな。とにかく、黙って横で聞いてるねん。あれは、他の子にはなかったな。」

母は、他のことはほとんど覚えてないけど、このことはよく覚えてると言った。
私は4つまで末っ子で、下に妹が出来たのでその時の淋しさや悲しさをおぼろげに覚えている。きっと母は、妹の子育てで私の小さい頃のことを覚えてる許容量がなかったのだろう。真ん中って、そんなとこあるけど。

いつも忘れられてることが、育ちの中で私を淋しがり屋にもさせたが、親の目が行きとどかないことをいいことに自由に何でもやったようにも思うから、そうひがんでいたばかりではないのだ。

ずっと忘れていたそんな感情が久しぶりに思い出され、はっきり覚えていると言ってくれたことに、気持ちが揺れ自分でもへんなのだが、なんか涙が出そうになった。

「お母さん、なんとかの童話集とかいうやつ。全集になってたの、買ってあげて何回も読んだげたなあ。あんたら、よう聞いてたわ。」
「覚えてるよ。私、シンデレラが大好きで、お姉さんたちが洋服を選ぶのにタンスを開けっぱなしにしてる絵が大好きやった。ほとんどその挿絵覚えてるわ。」
「そうか、お母さんは何にも覚えてへんわ。」

坪田譲治村岡花子が監修をしていて、イソップからアンデルセン・日本民話などの童話集で、あかね書房が出している本だ。
「おひめさまの童話集」はまあ普通だが、「大男と小人の童話集」「花とほしの童話集」など、題名もふるってる。私は、この本を自分のものにして自宅に所蔵している。特に、水沢研という方の絵が好きなのだ。そして、レイアウトもすごく素敵なのだ。
おせちを一緒に作りながら(作ってもらいながら)、そんな会話をした。
子どもの頃は嫌いだったくわいが、今はそのそっけない味が好きだ。
毎年リクエストして炊いてもらう。ぼうだらは、父は好きだったけどもういないし、私も母も嫌いなので、これはパスだ。

お母さん、くわいを食べていつまでも長生きしてや。