夏休み その1

この一週間は、夏休み。

やらなあかんことやいろいろと気がかりなことはあるけれど、体を休めて街歩きと本三昧の日々。

毎年行っている下鴨納涼古本まつりは、下鴨神社でお盆の時期に開催されている。
この神社の糺の森(ただすのもり)は、学生時代の思い出深い場所でもある。
高く生い茂った木々が、こんもり影を作ってくれていて、この開放感が大好き。野外の古本市って、いいんだなあ。






最近は、この古本市での本選びをする時、仕事に直接関係ないものを買うようにしている。
もう絶版のものや、これを機会に読んでみたい児童文学。
1980年代より前のもの。特に70年代のは面白い。

すぐ子どもたちに紹介出来るものじゃなくても、自分のなかでじっくり寝かせてみたいもの。
そんな本に出会いたくて、また、そしたら出会うんだよねえ。

私、自慢じゃありませんが、くじ運も悪くじゃんけんも滅法弱い。

でも、本に関してだけは、なんかめぐっていったら出会うのだ。
それだけは、あまり苦労しないというか、苦労しても苦にならないっていうか。
結局、探すのが好きなんだろう。
そうすると、本の方がかくれんぼに飽きて顔出す…って感じかな。

こうして見つけた1冊。

「胡桃のギター」(武川みづえ/作 志村節子/絵 童心社)1989年出版。
バイオリン職人に憧れて、楽器店に勤めることになった少年のまわりで起こる不思議な出来事。
ファンタジーのようで、育ちゆく少年とそれを見守る心優しい大人たちとの物語のようでもある。
楽器店に突然飛び込んできた小学生の男の子が、「リスが弾くギターを作って下さい」と言う。
少年は、男の子の言動を半信半疑で聞きながらも、リスなら胡桃の殻を共鳴胴に使えばいいと考え始める。
そして作ってしまうのだ。

最初、胡桃のギター演奏会をひらくリスの話に展開していくのかしら…と思った。
でも、そうではなく…。
予想を心地よく裏切って、物語はもっとひろがっていった。

紹介には「空中アトリエ」の作者だとあった。
昔、小学生の頃、NHK少年ドラマシリーズという夕方15分ほどの番組があり夢中で見ていたが、海外のドラマ(長くつ下のピッピなど)のほかに児童文学を原作にしたものもあった。
その中で「空中アトリエ」を見たのを記憶している。
そして、その後原作を読んだんだっけ。

あとがきを見ると「ギター・ロマンティカ」というのも面白そうだ。

また図書館で調べて、閉架図書であるかどうか確認してみよう。

毎年糺の森を出るとそのまま出町まで歩き、商店街でふたばの豆餅をお土産に買う。
これが、私の8月の風物詩だ。