見つけたのに

今年も、古本まつりに行ってきた。
京都古書研究会が主催するこのまつりは年3回あるが、夏の下鴨神社が一番風情があって好きだ。
境内のメインストリートに、かなりの樹齢の木が生い茂り、強い日差しを葉っぱがさえぎってくれている。
それでも、気温35度を越える天候ではうだる熱さなのだが、野外だからこその解放感がいいんだな。

児童書コーナーは、いつも初日からおおにぎわいだ。
リュックを下げた人、両手に抱え上げて本を選んでいる人、車椅子で回ってる人、蚊にくわれた裸足の足を、もう片っぽの足でかきながら立ち読みしている子ども…これも、毎年の光景だ。


そして、私は見つけてしまったのだ。
世界文化社の「少年少女世界の名作」シリーズ全22巻。
7千円。

話は7月末にさかのぼる。
先日他の小学校の図書室開放を見学に行った時に、「森は生きている」の背表紙を見つけ中を見たら、なんと湯浅芳子さんの訳で物語形式で書かれていた。
私は、湯浅さんのは岩波の戯曲だけだと思っていたので、びっくりした。
とても読みやすいのだ。
絵は、杉田豊さんで、これがまたとてもいい色と構図なのだ。
みなしごは、モダンなスタイルで斬新。
「いいな、いいな。この本、うちの学校にほしいな。」と私は、司書のAさんにぼやいていたのだった。

これがあれば、紙芝居で読んでやったあとに低学年も借りて一人読み出来る。


すると、なんと。
その本が、あったのだ。
でもね、シリーズでしか駄目でバラでは買えなかった。
22巻かぁ……
「図書室に置こうか?」
「自宅に?でも、本のあふれたわが家のどこに?」

家の本も、整理・寄贈、ものによっては処分しないといけないとこのところ危機感を持って思っていたので、その22巻が自宅にある光景はちょっと勇気がなかった。
しかも、22巻のうちほしい本は半分くらいだったから。


それでずっと立ち読みをしていた。
発見があった。

「このシリーズって、幼なじみのMちゃんの家にあったものだ!」

私の思い出のなかでは、それは「至光社」という出版社の絵本シリーズだと思っていた。
でも、「世界文化社」のこのシリーズだったのだ。
いわさきちひろさんの絵が美しい「青い鳥」。
(これこれ、これが好きだったのよ、私。)
「アンクルトムの小屋」。
(この挿し絵だったなぁ。)
「森は生きている」があったことは覚えていないけれど、きっと並んでいたのだろう。
そして、同じシリーズだったなんて。


見つかってうれしかったけど、悲しかったなァ!

また出会うやろうな。
出会いたいな。
それまで、待っててや。

最近久しく連絡とってないけれど、Mちゃんと話してみようかな。
「Mちゃん、あの本覚えてる?」
人の家の本を激しく?私が覚えていて、Mちゃんがころっと忘れてたりして…。
それも有り得るな…。笑えるわ。