最後の時間に①

最後の図書の時間は終わり、あとは修了式を残すのみとなった。
毎年、図書の貸し出しが終わる3月中旬あたりから一週間ほど、私はものすごく忙しくなる。
子どもたちに、賞状をあげるのだ。
一年間借りた本の冊数を書いて、ひとりひとりにひと言つけて渡す。

名前を見てすぐいろいろエピソードが思い浮かぶ子もいれば、図書カードをながめてあらたな面を発見する子もいる。

本当は、冊数はひとつの基準でしかない。
でも、たとえば100冊を越える本を借りようと思えば、図書室に地道に通い詰めないと、そこには達しない。
ほめるのは、たくさん通ってきたことなしに実現しなかった点だ。

そして、しおりの取組もそこにつながっている。
「図書室にたくさんの人がきてほしい。」と思う図書委員の気持ちがあるから、しおりをせっせと作るのだ。


もう貸し出しはないから、いつもより余裕がある図書の時間。
1年生は、落語絵本「犬の目」(フェリシモ出版)と「ロボット・カミイ」の紙芝居(童心社)を。落語を読む時は、関西人でよかったと思う。この本は、読み聞かせにちょうどいいんだ。

読んだあとで、「最後にみんなにプレゼントがあります。」と言って、賞状のたばを見せる。「このなかから代表してもらってもらいます。さあ、誰になるかな。」
トランプのように、一枚の賞状をひきぬく。
「○○さん。」
「うわぁ〜!」
どよめくみんな。
「ほんはともだち賞。あなたはこの一年間で○○冊の本を借りることがでできました。…○○さん、あなたは、絵本や物語をたくさん読みましたね。とくに△△を何回も借りました。どこがおもしろかったかな。また先生におしえてね。 平成23年3月17日 ■■小学校図書室より。おめでとう!みんな、拍手!」
手をたたくみんな。

立ってるKちゃんは、ちょっと緊張して、でも私の言葉をじっと聞いていてくれている。
「なあなあ、先生。次の人はないの?」
「じゃあ、次いこか。じゃかじゃかじゃか…」
勝手に擬音をつけて、間のびさせる。

すると、みんな手を合わせておがんでるではないか!
あれ、前に出たいんだな。自分にあててほしいんだな。
「ピッ。次は…Hくん。」
「うぉ〜!」
みんなの歓声。おたけびのような。

でも、時間がないので5人までで終了。あとは、担任の先生に教室で渡してもらうことになった。
「全員読んでほしかったわ。」とAくん。いつまでも言っていた。

そして、私もプレゼントをいただいた。
みんなが書いた、図書の時間の感想だ。

1年の先生が言って下さった。
「字も内容もたどたどしいけど、みんな図書の時間が大好きなんです。いろんな本を楽しんだし、読んでもらった本もよく覚えている。それは、確かなんです。」
はい。
私も、しっかり受けとめました。

そんな感じで4年生まで、賞状渡しをしてようやく年度末がきた。