春はすぐそこ

いま1年生がおもしろい。
どんどん成長してきてお話を聞く力も育ってきた。

物語の世界と自分との距離がほんとに近くて、吸い取るようにいろんなものを受け止めている。



今日は、「りんごちゃんとのろいさん」(角野栄子/作 ポプラ社)の前作「りんごちゃん」を読んだ。
表紙を見て、「あっ、りんごちゃんや!」「りんごや!」とうれしそう。

「このお話を読むと、りんごちゃんのおへそがなぜお花なのかがわかります。」
と言って、始めた。
りんごの人形「りんごちゃん」と人間のマイちゃんがケンカする場面が面白い。
あんまりりんごちゃんが傍若無人なので、1年生はだんだんりんごちゃんを批判したくなっている。
悪口を言い合うところでは、マイちゃんがまた上手にりんごちゃんをおとしめることを言うんだな。
このへんから、子どもたちは物語にのめりこんでいく。
角野さん、なかなかのもんだなあ、と感心する。

りんごちゃんのあたまは毛が一本、はげちゃびん!

こんなことを言われて、りんごちゃんは逆襲。マイちゃんの小さい歯をからかう。

「さあ、マイちゃんは怒った。みんなだったら、りんごちゃんになんていう?」
「ばか、あほ」「死ね」
「そんなんじゃ、りんごちゃんにはこたえないよ。」

「くさったりんご!」
「もっと、もっと」
「虫食いりんご!」
「もっとないか。」
「しなしなりんご!」

ウィットにとんだ悪口って、なかなか難しいのだ。
もっと言え、もっと言えばいい、と思いながら私は子どもたちの顔を見ていた。
悪口は言ってはいけません。ケンカはしてはいけません。
いけないことだらけのなかで生活している子どもたち。
悪いものみつけのように、出る杭を打ってしまう。
言い合ってからケンカ両成敗になれないかな。
顔が赤くなって、生き生きしてくる子どもらの表情を見ていると、もっともっと小さないたずらや意地悪をいっぱいさせてやって、ゆっくり成長していかせてやりたいと思う。
頭使ってりんごちゃんをこてんぱにする一言を考えているみんなが、可愛いと思う私は変なのかな…。

ケンカのあとに知った事実で、物語は展開していく。

最後の絵は、おへそを見せ合うマイちゃんとチャンピオン君と、りんごちゃん。
マイちゃんはちょっと、でべそ。
チャンピオン君は、かなりでべそ。
りんごちゃんは、お花のボタンのおへそ。

すると2月だというのに、シャツをめくって自分のおへそを見せてくれる子が続出!
これだから、1年生はいいな。

あれだけりんごちゃんの悪口言ってたのに、「りんごちゃんのしおりほしいな。」「この本借りたいな。」って、みんな言っていた。



さて。

「はなうたひとつまみ」のはねうたさんの、型染め絵のお雛様が届いたので、図書室に飾った。
赤い画用紙の雛段に、ふたりがちょこん。
お花もちらす。

3人官女や5人囃子は、色紙で子どもたちと作ろうかなと思っている。

図書室に、ひと足はやく春がきた。