ドールハウスで終わっちゃだめ

床下の小人たち」は、子どもの頃に読んでいた。
魔法を使う小人ではなく、人間のものを「借りながら」暮らす人たち。何を借りてどう暮らしているのかを克明に記し、まるで目に浮かぶように生き生きと書かれている。
アリエッティたち小人たちの人物造型がしっかり描かれているのもあるが、一番の魅力はドールハウス的な「小さい人の暮らしぶり」だろうと思う。

私は小人や人形が活躍するファンタジー・フェチなので、その手の物語には目がない。
このメアリー・ノートンの「床下の小人たち」も、学校図書室にないと必ず購入していた。

ところで今回、映画化されたことをきっかけにシリーズ2作目「野に出た小人たち」を、この年になって初めて読んだ。
びっくりした。
ものすごいサバイバルな物語ではないか。
一巻よりも、さらに激しい。
小さい人が懸命に生きていく姿が一心に描かれている。

これはシリーズ全部読まなくちゃ、理解したことにならないな。
ドールハウス的面白さで終わっちゃだめなんだと、つくづく感じた。
床下の小人たち」も確かにサバイバルな前兆はあるのだが、「床下」の豊富なイメージに隠れ、私には見えていなかったようだ。

小さい人を見つけると、忌み嫌うように追い出そうとする人間や、売り飛ばそうとする人間…。
自分の物差しでしかはかろうとしない。

アリエッティが見せる、本来子どもの持っている「生きる力」の輝きが、とても大切なものに思える。
隠れて生きていきたくないんだ。
危なくても、お日様を感じて自然に触れて、やっぱり前に前に生きたいのだ。


自分はどう生きていきたいのか。
子どもたちにどう生きていってほしいのか。

そんなことを考えさせられる物語。