好きになったらまっしぐら



朝、子どもたちが来る前に図書室内の棚の本を整理していて、一冊の絵本をふと取り出した。
「すきすきだいすき」(ピョートル・ウィルコン/作 ヨゼフ・ウィルコン/絵 セーラー出版)。えらく直接的なタイトルだなあ。題名が気になったのだ。
表紙は、人間のように描かれた立ち姿のひょうのカップル。

その場所で開いて読み始めた。

すると、なんというか、とても「まっしぐらな」お話だった。

ひょうのブルーノは、夜のジャングルで真黒いひょうのリサに会う。
「あしたまた会おうよ」
「いいわよ。わたしがこわくないなら。」

その日からブルーノはリサのことばかり考えてしまう。

その好きになりかたが、とても生き生きしていて、ブルーノの心の震えが伝わってくるのだ。
たとえば、(前足をやさしく すっとおく)仕草にぐっときたり、
(ほっぺたをくっつけあってみたい)
(リサの毛並みをざらざらの舌でなめてみたい)
(せめて前足でなでてみたい)
と思うのだ。

せめて前足で…と思うところがいじらしく、でも好きになったらどうしようもなく思い焦がれてしまう。

そして恋にはつきものの、心の行き違いがあり…
悩んだ挙句に、ブルーノは猛突進!

「あたまおかしいんじゃないの。」
うれしさと裏腹に言うリサの言葉の、かわいいこと。

本当は、リサ、それはわかった上でのかけひきなの?
とも思わないではないけれど、それを言うのは無粋だよね。

好きだと思えば、まっしぐらなブルーノのピュアな心が、とても気持ちよく、朝からなんだかさわやかになったのだった。

これは、小学生はかえって恥ずかしいかも。
中・高校生なら、いろんな風に感じて楽しむだろう。
好きな人にプレゼント、とか。

この小粋な絵本を、いつやんちゃ坊主たちに読んでやろうかな。
「きっしょ〜(気色悪いの、関西弁です)」
なんて言いながらでも、聞いてくれるかな。