この絵本 2年生の巻
2年生に一年間読んだ本のなかで人気ナンバー1は、この「ワニーニのぼうけん」(tupera tupera/作 婦人之友社)だった。
ワニのワニーニは12歳。家族のしきたりとして、12歳になったら船のトリチピテ号でひとり旅をしなければならないきまりがある。お父さんも、かつては旅をしたのだ。
トリチピテ号で出発するワニーニ。さて、冒険やいかに?
ここで第1話は「つづく」となる。
「どうする?」と子どもたちに聞くと、「読む読む!」。
初めて読んだ時は、「もうひとつ!」「もうひとつだけ!」とせがまれ、結局最後まで読むことになった。
そのあと、読みたい子は予約をして一覧表に名前を書き、順番に借りていった。
プロローグの1.ぼくはワニーニをはじめ、
2.あかいしま 3.にじいろのみち 4.ふたごのアシカ 5.ワニの木 6.ブティックイカスヤ 7.ききゅうだんしゃく
と全部で7章に分かれているのだが、うまい構成になっている。
文章は簡潔で、まあ欲を言えば隅々まで吟味された文章でないところもあるが、絵がすばらしいので許してしまう。
何よりもストーリーと登場人物の奇抜さが子どもたちをひきつける。
私は、3話の「にじいろのみち」が一番好きだ。
ワニーニが殺風景な島につくと、向こうの方ににじいろの道が見える。近づいていくと、馬がいた。
そして馬の足が、なんと色えんぴつだったのだ。
馬が歩くと、4本の足先(色えんぴつ)の跡が残り、色の道が続いていくことだったのだ。
子どもたちは、「な〜るほど」と納得。
ワニーニを乗せてくれた馬は、その色えんぴつの足で、くるりんくるりんと回っていく。
真っ白な地面に、くるくるといろんな色が描き出される。
その楽しいこと!
イメージの飛躍が群を抜いている。
色えんぴつの足だなんて…。
作者のtupera tuperaは亀山達矢と中川敦子によるユニット。
http://www.k2.dion.ne.jp/~tupera/
他にも絵本はたくさん出ているが、どれも一風変っていて、楽しい。
この本を楽しむ子どもたちを見ていて、やはり物語の入り口がしっかり開いているものには、迷いなく飛び込んでいくんだなと思った。
「色えんぴつの足って、どうやって削るの?」と現実的に考えながら、「足が短くなったら新しいのにスポッて取り換えられるね。」と言ったり、「口で削るんじゃない?」を想像しみたり…。
でも、今回読む時に(全部は読み切れないから)3つ選ぶのに人気投票したのだが、子どもたちは「ワニの木」「ブティック・イカスヤ」の方が好きみたい。いずれにしても、どれも不思議でわくわくする物語だ。
不思議だと思いながら引きずられてく、ファンタジーの醍醐味をたっぷり味わう姿に、私も満足した一冊だった。