詩をどうぞ

今年度最後の図書だよりを作っていて、今月の詩は何にしようか本を物色していたら、逆に読みふけってしまった。

体調がいまひとつで、早く仕上げたいのに、いつも寄り道で効率悪いなあ。
(結局、3月の詩は高見順の「われは草なり」にした)

でも、ちょっと笑ってしまう詩に出会った。

      詩人
          柿添 元

ばさろ
えらかごつ
おもうたり
ばさろ
えろなかごつ
おもうたり
する
いつも
じゅつないかわきに
あえいでいるが
こんかぎり
ひなおらびしたあとの
さわやかさのごたる
いやらしさも
ある


よく
しぬ


川崎洋さんの解説によると、この言葉は九州筑後の方言で「ばさろ」は「たいそう」、「ごつ」は「如く」の意味。
「じゅつない」というのは「術無し」。「苦しくてやりきれない」。
「ひなおらび」は、「どなる、叫ぶ」が「おらび」で、「ひな」は強調する意味。


自分に価値を見い出しながらも、時に自信がなくなったり、ものすごく傲慢に思えたりする。
詩人でなくても、なんだか共感する詩ではないだろうか。
最後の2行が、つきはなした言い方でおかしい。

こんな人は、どこか遠くから自分を見ることが出来るから、きっと生きていく。死なない。


「すてきな詩をどうぞ」(川崎 洋/編 ちくま文庫)より。