図書室の日々 あれこれⅡ












二年生のKちゃんがこの間から「こねこのチョコレート」(B・K・ウィルソン/作 こぐま社)をずっと探している。図書室にあるはずなのに、見つからない。
弟のプレゼントに買ったチョコレートを食べてしまうお姉ちゃんの話。罪悪感と、食べたい欲望とのせめぎあいが、緊張感をもって読ませる。Kちゃんは、この物語が好きなのだ。
Kちゃんと一緒に書架をずっと、目をさらのようにして探しまわっていたら、何人かの女の子がついてきた。
そして、「なぁ、先生。あれは?くまがいなくなって男の子が出てきて…」と聞く。
すると別の子が「ああ、あったあった。真ん中にお月さまがあって、前からのお話と後ろからのお話が、真ん中でつながるの。」
ああ、あの本か。
「どうしてかなしいの?・どこにいるの?」(マイケル・グレイニエツ/作 ポプラ社)だな。懐かしい…この子たちが1年生の時に一度読んだだけなのに、よく覚えてるなあ。
みんな、「ああ、あったあった!」と共感している。この本は、図書館で借りて、学校でも注文したのに重版未定で購入出来なかったんだっけ。
また別の子が「ほらほら、名前呼ばれて男の子が怒るやつ!」
私は、ほんとに最近名前がすぐ出てこない。悔しいなあ!
「そうや、なんやったっけ。お兄ちゃんお姉ちゃんら家族みんなが、可愛がってる弟なんやな。」と私。
「あっ、スピンキー!」
「そうや、そうや。それで、なんて呼ばれて怒るんやったっけ?」
間髪いれずKちゃんが「スピンクス!」

みんな、「そうやったわ!」

こんないろんな本の思い出話が出来るなんて、そこに居合わせることが出来るなんて、私はなんて幸せなんだろうと思った。

そして、一度しか読んでいない本をよく覚えている彼女らが、とても愛しく思えたのだった。

それにしても、すぐ題名がでてこない悲しさ。
しかも大好きなW・スタイグだったのに。
でも、私が思い出せないことで、みんなが付け足していったので、それもよかったかな。

最後の絵本は「いやだいやだのスピンキー」(W・スタイグ/作 セーラー出版)。やんちゃぼうずのいるクラスはぜひ。

いまでも、これを読んだ時のK君の「スピンクスやって!うわあ!」といつまでも笑っていたまんまるな顔をはっきり思い出す。