いのちに向き合う




雑誌「暮しの手帖」を定期購読して母と回し読みしている私だけど、このブログを読んでいる人は読んだことあるかな?
子どもの頃からずっと家にあったので、私は2世代にわたる読者になる。まぁあまり華やかな雑誌ではないので、いままで熱心に読んでなかった時期もあるが、トータルすると花森安治編集長の時から知っている。
この2,3年前からは、松浦弥太郎氏になり紙面もぐっと洗練されてきた。でもおしゃれになりすぎないように(そりゃあ、やっぱり歴史ある雑誌だから、いろいろあるでしょう)苦心されている節が感じられ、コアな読者から新規読者獲得まで努力してるように見えるので、松浦編集長頑張れ〜といつも思っている。

また、別冊のおそうざいの本やお菓子の本などは、ようくお世話になった。あたりはずれがなく、本通りに作るとおいしく出来るんだ。
いつもひらくページは、汚い手で触った跡がすっかりついてしまったが、料理をまるで知らずに結婚した情けない私の歴史のようで、ちょっと胸がキュンとする。

さて、この「暮しの手帖」で私がいつも一番先に読むのは、特集でも料理記事でもない。
細谷亮太さん(聖路加国際病院小児科)の連載だ。
毎回A42ページの文章で、かみしめるように読む。
今号(43号)はモティベーションについて書かれている。年齢やキャリアによってモティベーションの保ち方は変わってくるが、いずれにしても自分の「魂を揺り動かすことをしなければ」エネルギーはわいてこない。
年齢を経て、次世代に伝える立場にもなった細谷さんが抱える思いがしみじみ伝わってきて、そこに感情移入するともに私は私の立場に置き換えて読んだ。
細谷さんの書くものは、いつもいろんな感情を沸き立たせてくれる。
小児がんに永く携わって来られ、子どもの命や家族の思いにずっと添って来られたからか、文章がとてもあたたかくそして深い。
病気とたたかって逝ってしまった子どもや、いまも向き合っている子ども、完治して社会復帰した子ども…いろんな子どもたちが細谷さんの中にいつもいるからだろう。

そんな細谷亮太さんが解説を書かれている、大塚敦子さんの新作写真絵本「わたしの病院、犬がくるの」(岩崎書店)。
大塚敦子さんは、「いのち」に関心をもっているフォトジャーナリストで、よい写真絵本をたくさん作られている。
この「わたしの病院…」は、聖路加国際病院の小児病棟で実際に実践されているセラピー犬の訪問活動が描かれている。
子どもたちの病院での生活、院内学級の先生たちとの一幕、お医者さんや看護師さんたちとの触れ合いが生き生きと伝わる。そしてセラピー犬に手をまわしている、子どもたちの笑顔や祈るような表情が心に残る。
大塚さんの「さよなら、エルマおばあさん」(小学館)も、大好きな写真絵本だ。末期がんで最後の1年を過ごすエルマおばあさんと縁あって知り合った大塚さんが、丁寧に慈しむように撮った本。

2冊とも死を描きながら強く生を感じ、読後感は、生きることに投げやりになるのだけはやめようと、自分がそんな心持になっていることに気付く。