シュールさを共有

このところ新しくきた本を図書の時間に順番に読んでいる。
選書は基本は実際に書店や図書館で手にとって確かめたものや、司書仲間たちの評判なども参考にして購入するが、注目する作家の新作や一度読んでみたいものなどは、実物が来て初御対面ということもある。
絵本と一口にいっても、どういう場で一番映えるのかは様々だ。

聞く側が声を出したりして参加した方が楽しめる本。
読む側がなりきって立つことで世界に入れる本。
なるべく淡々と文章そのものを際立たせた方が生きる本。
ひとり読みに適している本。
クラス全員を巻き込める本。

当たり前のことだが、集団の読み聞かせに向かない繊細に書き込んである絵本が価値がないことでは、全くない。
絵本の魅力は見る方向によって違ってみえるし、出来れば図書室にはいろんなタイプの絵本が並んでいるのが望ましいと思う。

さて、今日は「ピーナッちゃんとドーナッちゃん」(小峰書店)を3年生に読む。
私は作者のつつみあれいさんのブログが好きでhttp://alei.cocolog-nifty.com/blog/、この人の感性でしか書けない文章をとても楽しみにしている。
この話は可笑しかった。
私もざっと下読みしただけだったので、読みながら子どもたちと一緒に笑った笑った。
ピーナッちゃんがハプニングで殻の身体が半分に折れてしまう。中から子どもがふたつ飛び出していっちゃった。
病院にいったら、先生はかっらぽになった身体にこんぺいとうを入れて、はいテープで閉じて「出来ました」。
え、え〜〜〜っ!
思わず、子どもたちからも声が出る。
「セロテープやし!」
「また絶対こわれるし。」
そして、ドーナッちゃんにいたっては…。

読み終わると、すぐ「なあ、これ続きないの?」

調べると「ドーナツッちゃんとモンブラリン」「ピーナッくんのたんじょうび」があるのね。

あまり誰もが考えつかない展開なんだけど、共感出来るところがこの絵本の面白さ。
「ありえへん」と思いながら「では、あれはどうなるの?」と考えている。その時点でもう世界に入っている。

本当はこの絵本はサイズと絵のタイプから言うと、40人近くの集団で読むのには最適でない。でもつつみさんのナンセンスの世界を集団でどうしても共有したかった。

子どもたちが受け止めてくれたのが、とてもうれしかった。


可笑しい時間でした。